リース会計基準②
最終更新日:2025年5月23日
カテゴリ:会計
目次
11.開示 表示と注記
(1)開示の概要
開示は、表示と注記、注記は総論部分と各論部分になります。また、それぞれ借手と貸手の区分があります。
概要は、以下になります。
開示
注記
- 借手
- 貸手
注記
借手及び貸手の注記(総論)
- 開示目的に照らした追加的な開示について
- 借手が注記する情報
- 貸手が注記する情報
- 会計方針に関する情報について
- 借手
借手の注記事項(各論)
- 会計方針に関する情報
- リース特有の取引に関する情報
- 当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報
貸手の注記事項(各論)
- リース特有の取引に関する情報
- 当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報
- オペレーティング・リースの注記
上記の内容を順次記載します。
前半で表示、後半で注記、表示については、最初に借手の表示、次に貸手の表示です。
(2)表示 借手
①使用権資産
次のいずれかの方法により、貸借対照表において表示します。
- ⅰ 対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目に含める方法
- ⅱ 対応する原資産の表示区分(有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産等)において使用権資産として区分する方法
②リース負債
貸借対照表において区分して表示する又はリース負債が含まれる科目及び金額を注記します。
- 貸借対照表日後1 年以内に支払の期限が到来するリース負債は流動負債に属するもの
- 貸借対照表日後1 年を超えて支払の期限が到来するリース負債は固定負債に属するもの
- リース負債に係る利息費用
- 損益計算書において区分して表示
- 又は
- リース負債に係る利息費用が含まれる科目及び金額を注記
(3)表示 貸手
①リース債権及びリース投資資産
貸借対照表において区分して表示する又はそれぞれが含まれる科目及び金額を注記します
リース債権及びリース投資資産
- 当該企業の主目的たる営業取引により発生したものである場合
- 流動資産に表示
- 当該企業の主目的たる営業取引以外の取引により発生したものである場合
- 貸借対照表日の翌日から起算して1 年以内に入金の期限が到来するものは流動資産に表示
- 入金の期限が1 年を超えて到来するものは固定資産に表示
リース債権の期末残高が、当該期末残高及びリース投資資産の期末残高の合計額に占める割合に重要性が乏しい場合、 リース債権及びリース投資資産を合算して表示又は注記することができます。
②損益計算書関係
損益計算書において区分して表示する又はそれぞれが含まれる科目及び金額を注記する。
- ⅰ ファイナンス・リースに係る販売損益(売上高から売上原価を控除した純額)
- ⅱ ファイナンス・リースに係るリース債権及びリース投資資産に対する受取利息相当額
- ⅲ オペレーティング・リースに係る収益(貸手のリース料に含まれるもののみを含める。)
(4)注記 借手及び貸手の注記
①借手の注記
- ⅰ 会計方針に関する情報(※1)
- ⅱ リース特有の取引に関する情報(※2)
- ⅲ 当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報(※2)
②貸手の注記
- ⅰ リース特有の取引に関する情報(※2)
- ⅱ 当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報(※2)
- ただし、上記の各注記事項のうち、前項の開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については、記載しないことができる。
リースに関する注記を記載するにあたり、前項において示す注記事項の区分に従って注記事項を記載する必要はない。
リースに関する注記を独立の注記項目とします。
ただし、他の注記事項に既に記載している情報については、繰り返す必要はなく、当該他の注記事項を参照することができます。
以下、連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表での扱いについての補足です。
- (※1)連結財務諸表の記載を参照可能
- (※2)注記の省略可
(5)開示目的に照らした追加的な開示について
注記する情報は、会計基準第55 項に掲げる注記事項以外であっても、会計基準第54 項の開示目的を達成するために必要な情報は、 リース特有の取引に関する情報として注記します。
①借手が注記する情報
借手が注記する情報には、例えば、次のようなものがあります。
- ⅰ 借手のリース活動の性質
- ⅱ 借手が潜在的に晒されている将来キャッシュ・アウトフローのうちリース負債の測定に反映されていないもの
- (例えば、借手の変動リース料、延長オプション及び解約オプション、残価保証、契約しているがまだ開始していないリース)
- ⅲ 借手がリースにより課されている制限又は特約
- ⅳ 借手がセール・アンド・リースバック取引を行う理由及び取引の一般性
②貸手が注記する情報
貸手が注記する情報には、例えば、次のようなものがあります。
- ⅰ 貸手のリース活動の性質
- ⅱ 貸手による原資産に関連したリスクの管理戦略や当該リスクを低減している手段
- (例えば、買戻契約、残価保証、所定の限度を超える使用に対して変動するリース料)
(6)会計方針に関する情報について 借手の注記
リースに関して企業が行った会計処理について理解することができるよう、次の会計処理を選択した場合、その旨及びその内容を注記します。
- ①リースを構成する部分とリースを構成しない部分とを分けずに、
リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを合わせてリースを構成する部分として会計処理を行う選択 - (会計基準第29 項)
- ②指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料に関する例外的な取扱いの選択
- (適用指針第26 項参照)
- ③借地権の設定に係る権利金等に関する会計処理の選択
- (適用指針第27 項及び第127 項から第129 項参照)
上記の会計方針を重要な会計方針として注記している場合、リースに関する注記として繰り返す必要はなく、重要な会計方針の注記を参照することができます。
(7)リース特有の取引に関する情報について 借手の注記
①貸借対照表において次のⅰからⅲに定める事項を区分して表示していない場合、それぞれについて、次の事項を注記する。
- ⅰ 使用権資産の帳簿価額について、対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合の表示科目ごとの金額。
- 当該注記を行うにあたって、表示科目との関係が明らかである限りにおいて、より詳細な区分により使用権資産の帳簿価額の金額を注記することを妨げない。
- ⅱ 第26 項の定めを適用し指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料に関する例外的な取扱いにより会計処理を行ったリースに係るリース負債が含まれる科目及び金額
- ⅲ 借地権について、第27 項ただし書き又は第127 項の定めを適用する場合
- 償却していない旧借地権の設定に係る権利金等又は普通借地権の設定に係る権利金等が含まれる科目及び金額
②損益計算書において次のa及びbに定める事項を区分して表示していない場合、それぞれについて、次の事項を注記します。
- ⅰ 第20 項を適用して会計処理を行った短期リースに係る費用の発生額が含まれる科目及び当該発生額。
- この費用には借手のリース期間が1 か月以下のリースに係る費用及び少額リース(第22 項参照)に係る費用を含めることを要しない。
- ⅱ リース負債に含めていない借手の変動リース料(第51 項参照)に係る費用の発生額が含まれる科目及び当該発生額
③セール・アンド・リースバック取引及びサブリース取引について、次の事項を注記します。
- ⅰセール・アンド・リースバック取引
- a セール・アンド・リースバック取引から生じた売却損益を損益計算書において区分して表示していない場合、
当該売却損益が含まれる科目及び金額 - b 第55 項を適用して会計処理を行ったセール・アンド・リースバック取引について、
当該会計処理を行った資産がある旨並びに当該資産の科目及び金額 - c 第56 項を適用して会計処理を行ったセール・アンド・リースバック取引について、
当該セール・アンド・リースバック取引の主要な条件
- ⅱサブリース取引
- a 使用権資産のサブリースによる収益(第89 項参照)を損益計算書において区分して表示していない場合、
当該収益が含まれる科目及び金額 - b 第92 項の定めを適用し中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合のサブリース取引について計上した損益を
損益計算書において区分して表示していない場合、当該損益が含まれる科目及び金額 - c 第93 項なお書きの定めを適用し転リース取引に係るリース債権又は
リース投資資産とリース負債を利息相当額控除前の金額で計上する場合に、
当該リース債権又はリース投資資産及びリース負債を貸借対照表において区分して表示していないとき、
当該リース債権又はリース投資資産及びリース負債が含まれる科目並びに金額
(8)当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報 借手の注記
当期及び翌期以降のリースの金額を理解できるよう、次の事項を注記します。
①リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額(少額リースに係るキャッシュ・アウトフローを除く。)
- ⅰ リース負債からのキャッシュ・アウトフローとリース負債に計上されていないリースに係る
キャッシュ・アウトフローの合計額の注記 - ⅱ 会計期間中に損益計算書に計上されたリースに係る費用及び会計期間中のリース負債の減少額をリースに関する
キャッシュ・アウトフロー - ーに関連付けて翌期以降のこれらの金額の予測に役立てることを目的
②使用権資産の増加額
- ⅰ 使用権資産及び所有資産に対しての設備投資に関する比較可能な情報を提供
③対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目ごとの使用権資産に係る減価償却の金額
(当該事項を注記するにあたって、貸借対照表において表示するであろう科目との関係が明らかである限りにおいて、 より詳細な区分により使用権資産に係る減価償却の金額の注記を行うことを妨げない。)
- ・資産をリースしている企業と資産を購入している企業とを比較する上で有用な情報を提供
(9)リース特有の取引に関する情報 貸手の注記事項
続きまして以下、貸手の注記事項である「リース特有の取引に関する情報」について記載します
貸手の注記 リース特有の取引に関する情報
リース債権及びリース投資資産に関して、貸借対照表において次の①及び②に定める事項を区分して表示していない場合、当該①及び②に定める事項を注記します。①リース投資資産について、将来のリース料を収受する権利(以下「リース料債権」という。)部分
及び見積残存価額部分の金額並びに受取利息相当額。
なお、リース料債権部分及び見積残存価額部分の金額は、利息相当額控除前の金額とします。
②リース債権について、リース料債権部分の金額及び受取利息相当額。
なお、リース料債権部分の金額は、利息相当額控除前の金額とします。
ただし、リース債権の期末残高が、当該期末残高及びリース投資資産の期末残高の合計額に占める割合に重要性が乏しい場合、
(1)と(2)を合算して注記することができます。
リース債権及びリース投資資産に含まれない将来の業績等により変動する使用料に係る収益を損益計算書において
区分して表示していない場合、当該収益が含まれる科目及び金額を注記します。
(10)当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報 貸手の注記
①リース債権の残高に重要な変動がある場合のその内容
②リース投資資産の残高に重要な変動がある場合のその内容
③リース債権に係るリース料債権部分について、貸借対照表日後5 年以内における1 年ごとの回収予定額及び5 年超の回収予定額。
なお、リース料債権部分の金額は、利息相当額控除前の金額とします。
④リース投資資産に係るリース料債権部分について、貸借対照表日後5 年以内における1 年ごとの回収予定額及び5 年超の回収予定額。
なお、リース料債権部分の金額は、利息相当額控除前の金額とします。
ただし、リース債権の期末残高が、当該期末残高及びリース投資資産の期末残高の合計額に占める割合に重要性が乏しい場合、 a及びb並びにc及びdのそれぞれを合算して注記することができます。
前項におけるリース債権及びリース投資資産の残高の変動の例として、次のものが挙げられます。
- ①企業結合による変動
- ②リース投資資産における見積残存価額の変動
- ③リース投資資産における貸手のリース期間の終了による見積残存価額の減少
(見積残存価額の貯蔵品又は固定資産等への振替)(第76 項参照) - ④残価保証額の変動
- ⑤中途解約による減少
- ⑥新規契約による増加
なお、当期中のリース債権及びリース投資資産の残高の重要な変動を注記するにあたり、必ずしも定量的情報を含める必要はない。
(11)リース特有の取引に関する情報 オペレーティング・リースの場合 貸手の注記
リースが企業の経営成績に与える影響を理解できるよう、 オペレーティング・リースに係る貸手のリース料に含まれない将来の業績等により変動する使用料に係る収益を損益計算書において区分して表示していない場合、 当該収益が含まれる科目及び金額を注記します。
貸手の注記 当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報
当期及び翌期以降のリースの金額を理解できるよう、オペレーティング・リースに係る貸手のリース料について、 貸借対照表日後5 年以内における1 年ごとの受取予定額及び5 年超の受取予定額を注記します。